美しきトスカーナから!イタリア語も!美味しさも!楽しさも!

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第二章 最後の地「高山」part2 

(初めから、私のエッセイ「マイ セカンド ライフ」を読む)

フィオレンツァ記           

高山は目の前にある。
そして、更に目の前にあるのはイタリアに帰る決意をした私がいる。
仙台郊外でかつて住んでいた蒲生(がもう)の家は東京へ転勤することになった家族から家を貸してもらえることになったのだが、5年間住んでから転勤先から帰ってくることになったからと、1年後に家を出てほしいと1か月前に言われた。

今思うと、地域はそれほど大好きと言うほどの場所ではなかったが、仙台港に近い蒲生の海岸から隣の荒浜海水浴場に向かって長い砂浜を毎日のように裸足で波を感じながら歩いたものです。
いつでも砂浜を散歩、ジョギング、そして閖上までもサイクリングが出来たし、毎日、自然と触れ合えたことで仙台の暮らしは和らいだように思える。

仙台での暮らしは、いつも周りの人々と心が通じ合えないような感じがしていた。
特に西洋人が少ないことで、西洋人を見ると特別に意識してしまうのかどうか、いつも視線を感じずにはいられなかった。
結局、私と周りの人々の間に分厚いガラスの壁のようなものができて、お互いは見合うことはできても心の温かさなどが伝わらない感じがしたのである。
このような状況の中で、毎日かのようにイタリアに戻りたいと考えるようになっていた。
幸いに、仙台の周りは自然が豊富で、海や山などにすぐ行けるので気持ちが落ち込んだ時などの逃げ場所は沢山あった。

東日本大震災の津波を直接受けた蒲生・荒浜など、私の心を支えてくれたこの辺一帯は、地形が急変するほど変わり果ててしまい、何千軒もの家々が押し流されて何もない場所になったり、瓦礫の山になってしまったりと、私の住んでいた家も、その隣の家々も、海沿いの見渡す限りの家々がなくなってしまったのだ。

想い出の場所が突然消えた・・・。

私が蒲生の家の庭先で畑の野菜に水をかけていると、集団登校で小学校へ通う子供たちから指を差されて「外人、外人」と言われた・・・。

また、家の目の前の大きな畑で、玉ねぎ掘りをしながら収穫していた人から声をかけられ、「玉ねぎはいくらあってもよいから」と沢山の玉ねぎをいただいたことがあった・・・。

それから、いつも月末になると、午前中の10時か11時ころ、「新聞(すんぶん)代の集金(しゅーちん)でございま~す」とここら辺の訛りで声高々に集金に来られていたおばあちゃんのことも気になる・・・。

一つひとつの場面が頭をよぎるのだが、あの人たちは津波から逃げれたのだろうか・・・。
一生、私の心の中で生きるのだろう。

引っ越ししなければならないからと、何軒かの家を見に行ったのだが、どの家々の環境も好きにはなれず、次第に仙台に住み続けるという気持ちが薄らいで、結局、仙台、いわゆる日本から気持ちが離れたのだった。
そして、「(1年後にはイタリアにいるんだなぁ)」と思った瞬間から、とても楽な気持ちで暮らせるようになった。

ただ、不意な思いつきで、5年前に行ったあの高山にもう1度行きたくなり、幸次と二人でまた出かけた。
そして、今回は、前回とは逆の高山の北の方角にある花淵神社側から松の木林の中の小道を通って海岸に行くことにした。

花淵神社から奥の海岸沿いは、リアス式海岸のごとく、ゴツゴツした岩ばかりで、太平洋の外海から押し寄せる波に大きな岩が飲み込まれるようにぶつかっていた。
ここら辺一帯は松の木林が続いていている。

小道を進んで行くと、釣り人が通った跡だろうか、けもの道のように草が生えていないので目印無しでも進むことができたのだが、更に奥深くに行くと、小道が草で覆われていて誰も通っていないように見える。
そのような草をかき分けながら進んで行くと、小さな湾になっている海岸に辿り着いた。

湾の手前の高台からは、太平洋が一望でき、眼下に見える小さな湾は松林や大きな岩に取り囲まれている。
道も無く、ここまでは誰も来ない。
波の音だけが聞こえる世界だ。
小さな湾から海を眺めると太陽の光が波に映り、キラキラと眩いくらいに輝いていた。

ここから見る海の美しさに魅了され、後に、高山に住んでからは、ここの大きな岩に腰かけて海を眺めに何度も何度も来た場所である。
どんなに疲れていても、どんなにストレスがあっても、ここから海を眺めれば時間が過ぎるのを忘れ、心が穏やかになる、私の癒しの場所。

この小さな湾を境にフェンスが張られている。
フェンスの向こうが高山なのだろうか。
フェンスに近づいてみたら立ち入り禁止の札があったが、もちろん、今回もフェンスを乗り越えて入った。
フェンスに最も近い家に近づいてみたが、人がいる気配が無い。

その家のベランダ付近から、海の方を暫く眺めていたら、急に人の声が聞こえてきた。
声のする方に振り向くと、西洋人の男性と日本人女性のカップルが小道を歩いてきた。
見つかっていなければ戻ろうかと一瞬思ったが、彼らは私たちがいることに気付いたようだ。
ベストな笑顔で「Hi!(ハーイ)」と挨拶するしかなかった。
(続く)


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第二章 最後の地「高山」part1 

(初めから、私のエッセイ「マイ セカンド ライフ」を読む)

フィオレンツァ記

この世で、この人生の中で高山を知った者は、生涯を通して、どんなに遠くに離れてしまったとしても、例えこの世の果てに行ったとしても、必ず戻りたくなる場所である。
私もその一人だ。
この高山への情熱を見た地元の人たちは、首をかしげて不思議そうに思う。

旦那とすごく笑ったことがあった。
それは、近所の村に住む奥さんが神棚に捧げるための榊(さかき)の枝を高山に取りに来た時に、その時、高山の敷地内での唯一の居住者であった私に榊の枝をとっても良いかどうかを尋ねたのである。
「はい、どうぞ。よろしいですよ。」と答える私に、彼女は驚きの大きなまん丸い目をして、親しそうに「ここ、住んでんの?」と聞き、私は自然に「はい、そうです。」と言った。
すると、彼女は、不思議そうにまた聞いた。「旦那さんは?」
私は「いますよ。多賀城のソニーに勤めてます。」と言ったら、
彼女は、「え~~!奥さ~ん、ソニーさんがこんなとこ 住ませてんの~!」と言いながら目が飛び出しそうになるほど大きな目をして、玄関口から家の中を首を回してジロジロ見始めた。
私は、彼女の視線を追って、私も家の中を見た。
私が東京も含めて、今まで住んだ中で一番素晴らしいと思ったところなのに、日本人にはとんでもない場所に見えたのだろう。
それは、きっと、日本人には高山の魔法が通じないし見えないからだろう。

幸次が会社から戻ると、近所の奥さんに言われたことを伝えたら、給料の高いソニーマンが貧しそうなボロ家に住ませているのを不思議そうに思われたり、ケチでこんな家に住ませていると思われているんだなぁという話になって、二人で大笑いしたのだった。

実は、高山に出会う前、イタリアに帰る決心をしていた私が日本にとどまった理由は高山の存在があったからで、イタリア行きを取りやめてまでも私がこの高山に住むことを強く求めたのだった。
「その代り、ここから出ていかなければならなくなったら、私は日本のどんな場所をも探さないぞ!イタリアに直ぐ帰るからね。」と言って、日本にとどまっただけでなく、高山を通して新たな自分の魂に出会うことができたし、日本を深く愛することができたのである。
結局、高山が私を180度変えたのでした。

高山は、宮城県の七ヶ浜のサーフィンのメッカ「小豆浜」と呼ばれる白い砂浜のそばのフェンスで囲まれた松の木林の森になっている高台の地域。
この七ヶ浜の海岸沿いの一帯は、特別名勝松島と呼ばれる特別保護地区に指定されている。
初めて訪れる人にとっては他の場所とはちょっと違った雰囲気なので、まるで初恋の人との出会いで相手はどんな人だろうと期待するような魅力を感じる所だ。
初めてこの七ヶ浜に来た私は、まさにこのような気持ちだった。

「七ヶ浜に外国人村があるよ」と幸次がつぶやいたことに、驚いたと同時に物凄い興味を持った。
あちこち日本を周った私でも外国人村というものを聞いたのは初めてだ。
私は、直ぐに「行きたい」と言ったら、幸次は「かなり前だけど、地元の人が小豆浜の近くに外国人村があるよって教えてくれたこと覚えてたんだ」と言いながら、七ヶ浜に向かってすぐに出かけた。
初めて見る七ヶ浜の海岸沿いを車で通りながら、松の木林や砂浜を見て、そして岸壁に力強くぶつかる波を見て、まだ見ぬ外国人村に対する思いが次第に募っていくのだった。

5月中旬の今、表浜に車を置いて砂浜を歩いてみると海は穏やかで太陽を浴びてキラキラと光っていた。
砂浜には何人か歩いている人がいた。
私たちは海を正面に見ながら歩き、右手の方にある断崖絶壁の高台の真下まで行くと高台の上の松の木林の間から大きな古い木造の2階建ての家が見えた。
岩壁には外海の荒い波がぶつかり波しぶきとなって消えていく。
ここから先は行き止まりなので、海から離れるようにぐるっと目の前の高台を周るように歩きながら幸次が言った。「もしかしたら、この高台一帯が外国人村かもしれない!」

私たちは更に進んでいくと砂利道が高台に登るように続いている。
そして赤い鉄の門が閉まっているところまで行くと、門には立ち入り禁止と書かれた看板があった。
二人で顔を見合わせながら、幸次が「ここが外国人村だ!」と言うので、立ち入り禁止にもかかわらず、門を乗り越えて中に入ってみた。
無断で入ったことで、誰かが来て怒られるのではないかと思い、胸をドキドキさせながら敷地内の小道を進んだ。
小道を挟むように、あちこちに黒塗りの古い木造の家が建っていたが、全て閉じられており、人がいる気配が無い。敷地内は手つかずの大自然の美しさで溢れていた。
海の方に向かって歩くと高台の一番上にたどり着き、真っ青な太平洋を見下ろすように暫く眺めながら心地よさに浸った。
敷地内を散策しながら4つの家に囲まれた芝生にたどり着いた。
草が高い。
草の中に数羽のキジが隠れていたのだろう。私たちが近づいたことで、それらのキジが甲高い鳴き声をあげながら幾つかは走って遠くに逃げ、幾つかは飛んで逃げて行った。
その迫力に二人とも息をのんだ。

芝生の真ん中に立って強く思った。「(ここにずっと居たい)」と。
一瞬のことであっても強く思えば願いが必ず叶えられるのだ。
高山の神が聞いてくれたかのように、5年後、私たちはここに住むことになった。

(続く


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新天地イタリアへpart3 

幸次記

イタリアに向かう飛行機の中で、スチュワーデスが窓のブラインドを閉じると、機内が暗くなり乗客が休めるようになった。寝ている人もいれば、スポットライトで本を読む人や座席に設置された個別のモニターで映画を楽しむ人もいた。僕は機内で感じる気圧の騒音や揺れに包まれ目を閉じてウトウトしていた。利多は隣にいるフィオレンツァの膝枕で寝ている。利多の足がちょうど僕の膝のところにあった。この2、3か月は、イタリアに向かう準備に追われ、連続的に、いろいろな手続きなどに走り回っていたので、ゆっくり休んで考える時間がなかった。ただ、1回だけ瞬間的に僕の新しい姿を実感した。それは、ある手続きでデータを記入するときに、職業の欄に「無職」と記入した時だった。僕が無職だなんて・・・今まで無職と聞くと他人事のようで、まさか自分が無職になるなんて想像もしていなかった。

僕が就職した1970年代後半は、オイルショックで石油関連製品の買い占めが横行しスーパーからトイレットペーパーが消えた年でもあり、父が経営する米沢織物工場も破たん寸前となっていた。
オイルショックにより各企業も採用人数を減らすなど就職難と言われた時だったが、父は今後成長する企業の「ソニー」に目を付けた。
宮城県多賀城市にあるソニー工場では、オーディオカセットテープやβ方式のビデオテープを世界に先駆けて生産し始めた時期でもあり、「世界のソニー」、「ソニー神話」に向けて動き出そうとしていた時代であった。

すでに、ソニーに就職する門は狭くなっていたが、300人が応募する中、50人の合格者の中に入ることができ、両親や親せきが大喜びした時の画像が、「無職」と書いた瞬間に頭の中で走馬灯のように流れた。

当時は、大手企業に入社できれば、後はレールに乗って終点までたどり着けると言う保証のようなものがまだあっただけに入社試験も難しかったが、内定の通知をもらった時は最高にうれしかったことを覚えている。

自由闊達を思想にしていたソニーに入社できたことは、グローバル的な様々なチャンスや可能性があったし、そういう意味では僕は恵まれていた。
製造を技術支援する部隊に配属され、多能工専門技術者として第一線で活躍するようになり、1980年代には、飛ぶ鳥をも落とすと言われたソニーの邁進力を支えるプロジェクトメンバーに抜擢されると海外工場立ち上げラッシュの波に乗って、フランスやイタリアなどの欧州工場立ち上げに参加することができた。

初めて海外へ行ったのはフランス。フランス出張を通して、憧れのヨーロッパでの仕事や生活には、日本とはちょっと違った自由があった。それは、日本では当たり前なので意識もしていなかったことだが、個人は会社の組織の中に完全に組み込まれていることや、個人が、義理人情、先輩後輩、コミュニティ(例えば町内会)などの関係に支配されている社会の日本に対し、フランスでは、個人が様々な組織の中にあっても、組織に支配されず、個人の意思が尊重されていることは僕にとってとても新鮮なことだったし、義理人情もなければ先輩後輩の関係なども全くないことが、より自由さを感じさせてくれたのであろう。
その時に一瞬思った。このヨーロッパに暮らせればなんて素晴らしいことか・・・
何年か後に、素直に思ったこのことが実現するとは想像もしていなかった。

(続く)


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新天地イタリアへpart2 

フィオレンツァ記

あちこちに立って監視している税務管を通して、イタリアにいる雰囲気が伝わってくる。その税務管達は、立ち話をして時々笑ったり、別な税務管はシェパードと歩きながらリラックスして旅行者たちを見ている。国の魂は空港で分かる。イタリアをしばらく離れていた私にとって、後ろに置いた悲しみがどんなに深くても、イタリアに入った途端に心が安らぐ。スーツケースや手荷物の税関による検査がほとんど無い、何でもフリーパスしてくれる環境はイタリアならではの待遇とも言える。母なる国に帰って来たと強く感じた。
この空港は、ちょうど1年前、日本行きの飛行機で飛ぶ前に、人生の大きな決断をした場所だ。
1年後の今、戻ってきたけどもう遅い。

妊娠4か月で、重い鞄を持って、エステから電車に乗ってマルペンサ空港に着いた。
気持ち悪いし、これからの長い旅行の不安もある。
いつものように、毎回、日本に帰るとき、飛行機に乗る前の習慣で電話ボックスを探し親に電話をした。
「Pronto, Mamma?」 「もしもし、お母さん?」
母の返事は涙。泣きながら何度も何度も私を呼んだ。
「Fiorenza…Fiorenza!...Fiorenza…」 「フィオレンツァ・・・フィオレンツァ!・・・フィオレンツァ・・・」

母は、今までの飛行機に乗る前の電話で、こんなにも泣いて、まるで引き止められるようなことは過去にはなかった。とても、このことが気になって、この飛行機に乗らず、電車に乗ってエステの家に引き返そうかとも一瞬思った。本当に迷った。人生は一瞬一瞬の繰り返しの連続である。連続した一瞬の中で、ある時は、一瞬で大きな決断をしなければならない時がある。
私は電話を閉じた。

その後、心を塞いでしまった私は重い足取りでJALカウンターに向かった。
そこには二人の天使が立っていた。重さをはかるため、ベルトコンベアーに鞄を乗せると、カウンターにいた女性が鞄にタグを付けて、もう一人の女性が微笑みながら話しかけた。
「Mi dispiace.」 「あいにく、エコノミークラスは満席です・・・」
そんな馬鹿な!私は信じられない顔をした後、彼女は直ぐにまた、にっこりしながら話しかけた。
「ただ、ビジネスクラスに空席があるのでそちらでもよろしいでしょうか?」
私は、また、驚きながら答えた。
「Sssi. Grazie!」 「はっ、はい、ありがとう!」

飛行機の中で、広々としたビジネスクラスのリクライニングシートを目いっぱい倒しながら、ゆっくりと考えた。
JALカウンターの前で、他の乗客も沢山並んでいたのに、なぜ、私だけにビジネスクラスの席が与えられたのだろう。ビジネスクラスはほとんどの席が空いていて、ところどころに何人かのビジネスマンが座っていた。話し声が聞こえて、大使館関係者もいることが分かった。
それに、旅行代理店に予約した時、既にエコノミーの私の席が決まっていたにもかかわらず、JALのような大きな会社が、飛ぶ直前に、私の席が無くなったと言うのもちょっとおかしい話と思った。そこで、依然、読んだ本のことが思い浮かんだ。

人間が、非常に困っているとき、自分の力ではどうしようもない時、自分を殺してまでも精いっぱいやろうとしている時、天使が人間の姿で現れて助けてくれると書いてあったことを思い出した。

あの二人の女性が天使であったかどうかは一生分からないままだが、いつもロマンを求める私にとっては、天使だったに違いないと信じている。

僅か2か月の短い期間だったが、妊娠中であったにもかかわらず、自分の身を殺して、できるだけの親孝行をしてきた。この間、母が末期癌にかかっていたことも知った・・・


幸次記

ロベレートでフィオレンツァに会ってから、いつか、脱サラの姿でイタリア行きの飛行機に乗ることを分かっていた。

(続く)



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新天地イタリアへpart1 

これからのブログも今までのように様々なことを書きたいと思っています。そして、新しいカテゴリーを一つ増やしました。それは、私のエッセイの仮タイトル「マイ セカンド ライフ」です。これは旦那と二人で一緒に書き上げていくスタイルにしてあり、その本文から一部分を抜粋してブログで紹介していきます。自分たちの経験したことを綴っていきますが、読んでくださる皆さんにもお役にたつことがあれば幸いです。

マイ セカンド ライフ

新天地イタリアへpart1
フィオレンツァ記

飛行機はゆっくりと降り始めながら、パイロットのアナウンスが流れた。
「・・・・気候は晴天、気温は24度。この後、三十分くらいでマルペンサ空港に到着します。・・・・」

夕方、6時近くだというのに、窓の外は、まだまだ、とても明るい。高山を後にして、どこか寂しげな気持ちになっていたが、暖かいイタリアが迎えてくれることを知ってから、急に嬉しくなった。

まだ5月15日なのに、イタリアは夕方で24度ということは、もう夏の気配だ。
昨日、仙台を出発した時、仙台駅は冷たい風が吹いていたので厚手の服装で出かけてきた。
ホームでちょっと震えながら東京行きの新幹線を待っていた。でもその震えは、大好きな高山から離れて家族で新天地イタリアへ行くことの不安もあったし、これから家族を抱えてどのような生活になるのか少し心配でもあったので、気持ちを引き締める意味で身震いしていたのでした。
日本が長かった私は、いつでも母国イタリアに帰りたかった。いつもホームシックにかかっていた。でも、高山を知って、高山に住んでからは、日本で死んでもいいとまでも思った。
高山を通して日本を愛したのだ。
ドラマチックなことが次々と起こり、結局、今、イタリアに向かって帰っているのだ。

パイロットのアナウンスのほぼすぐ後に、スチュワーデスがみんなのブランケットを集めに来た。私のところに来た時、ブランケットをたたんで渡したら、ブランケットの下から、私が抱いていた赤ちゃんが出てきた。スチュワーデスは思い出したように、
「え~っ、いい子だったねぇ~。全然、泣かなかったねぇ~。」

私は「はい。」と答えて、こう思った。
大泣きの利多。私がイタリアに行くと決まった時の一つの悩みは、高山で生まれた娘が、どうやって、機内で12時間も泣かせずに過ごせるのだろうか、ということ。ずっと、おっぱいをあげれば泣かないのは分かっていたけど、12時間はとんでもなく長すぎる。かと言って、利多の泣き声は、高山の岸壁にぶち当たる波の音をもかき消すくらいに大きいので泣かせられないのも事実。

1か月検診で、出産した塩釜市の坂病院に旦那と3人で行った時、検診を待つ母親に抱かれている他の赤ちゃんたちはお利口に待っていたのに、静かな高山に慣れていた利多が、今から検診で何かされる不安を感じてか、物凄い声で大泣きしたのだ。いくら旦那があやしても、大好きなおんぶをしても泣き止まない。私はみんなの視線を感じて顔が赤くなるのを感じた。外人の赤ちゃんはよく泣くなぁと思われているに違いない。

こんな利多なので、1回でも泣かせてしまえば大変なことになると心配だった。
それで、おむつを交換するとき以外は、ずーっとブランケットの下で抱いていたのだ。
だから、無事に泣かせることなくマルペンサに着くと聞いたときは、緊張感がとれて、開放感で一杯になり、身体全体から喜びが溢れてきた。

マルペンサ空港を歩く。私が背負っているベビーキャリアの中で、大泣きの利多が時差のおかげで日本の赤ちゃんのように頭を横に傾けてすやすやと眠っている。

(続く)


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