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白い戦争(Guerra Bianca) その1 

ロープウェイで登るPejo3000の到着地点から外に出ると、目の前に氷山のモンテ・ヴィオツ(Monte Vioz)が静かにそびえている。
石に腰かけてモンテ・ヴィオツを眺めた。
空気が澄んでいて、モンテ・ヴィオツは、所々に霧が流れながらも、濃紺の空の青さに包まれていた。
周りは平和そのものだ。
突然、風が吹いた。
物凄い音が風に運ばれてきた。まるで、大砲の音みたいな・・・


Fuoco!!(打てー!!) 中尉の声が深い谷の中で響き渡った。
その後、アンドレアは、大砲に準備された砲弾に火をつけると、砲弾が「ヒューッ」と勢いよく飛んで、数秒後、モンテ・ヴィオツの頂上のやや右下の崖っぷち付近にあるオーストリア軍の要塞が物凄い爆音とともに炸裂した。

更に、数秒後、僕たちは、雪の上でうつ伏せ状態で鉄砲を構えながら次々と打ち始めた。アドレナリンが猛スピードで背中を駆け巡った。
寒さなんかは全く感じない。
どのくらい打ち続けたか記憶にない。

攻撃を受けた敵のオーストリア軍の要塞からは煙と雪が飛び散っていて何も見えない。
中尉が手を挙げて合図をすると、鉄砲隊は打つのを止めた。
深い谷に静けさが走った。
寒さか怖さか分からない。ただ、ただ、震えが止まらない。
そして、敵が攻撃してくるのを待っている。

何分経過したのだろうか。
緊張が高まり続ける。
やっと、中尉が手を下げた。
「Colpito!(やっつけたー!)」
「Abbiamo vinto!(勝ったー!)」
「Abbiamo vinto la guerra! (戦争に勝ったー!)」
皆が叫びながら喜んだ。
暫く喜びを味わったが、その後皆黙った。
肩の力が一瞬抜けて、今までの疲れを一度に感じた。
本当にこの戦争が終わったのか!?
僕は仲間たちの顔を一人一人見た。
皆、若いのに無精ヒゲのやつれた顔をしていた。
こんな山奥で死ぬかもしれない状況の中、ヒゲなんか剃ることは考えられない。生きるのが精いっぱいだった。
この山に来て、6か月くらい過ぎたのだろうか。日にちの間隔が無くなっていた。
よく、ここまで登って来たものだ。不思議でしょうがない。僕たちの仲間はひとりも山登りをしたことのない者ばかりだからだ。
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この戦争で山を登っている途中に、雪崩に遭ったり、クレパスに落ちたり、落雷でも、大勢の人が死んでいくのを見た。 いつ、俺の番なのか、深い雪を一歩一歩登りながら、いつ俺の番が来るのかを考えた。
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オーストリア軍との戦争の前に、俺たちは、この高い山で、吹雪や寒さとの戦いを強いられたのだ。

オーストリア軍は、僕たちより、一段と山の生活に慣れている。
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オーストリア軍のモンテ・ヴィオツの要塞は、陣の一番重要な砦であり、そこを落とせば、イタリアの勝利が見えてくる。
しかし、その要塞は、山のほぼ頂上にあり、要塞からは下の全てが見渡せるので、普通の戦略では近づくことが出来なかったのだ。

やつれ顔の中尉を見る。数か月余り、この中尉と行動を共にしてきた。兄弟以上に愛を感じていた。
中尉はイタリアの為にいつでも死ぬ覚悟が出来ていた。その愛国心がみんなの心に伝わっていた。
他の仲間たちも、僕と同じ気もちに違いない。

戦争に勝てたとしたら、それはこの中尉のおかげだ。

僕たちが造った木の砦の中で、寒さのあまり、皆で体を寄せ合いながら、戦略を考えた。
しかし、いくら戦略を考えても、敵からは僕たちが丸見えなので、攻め込んでいくルートは全く無いし、白い雪の上では僕たちの動きがはっきり見えるし、例え、白い服を着たとしても武器が目立つのでどうしようもない。

とにかく、大砲の砲弾が敵の砦に届く地点までは数十メートルも有り、これ以上一歩も近づけない八方塞がりの状態である。

時間だけが過ぎていく。早く、何とかしないと、寒さや病気で死んでいく仲間が増えるだけだし、そして待てば待つほど体力的にも精神的にも追い込まれていく。

中尉は黙って、油ランプを見ている。

僕は母に手紙を書いている。

この戦争で、僕にとって一番難しいのは、母へ知らせる手紙・・・
何を書けばいい・・・。
母も知っている。もしかしたらこれが最後の手紙となることを。

僕は母から慰められたいけど、逆に母を慰めなきゃと思って・・・

出発の日、あんなに泣いた母を見たことが無かった。

貧乏で生まれた僕は、子供の頃にも構ってもらったことがなかった。生きる為、親はいつも働き続けていたのだ。

愛されていないと思ったこともあった。

しかし、戦争への招待状が届いたとき、母は、招待状を手にして、うずくまり、体を小刻みに震わせながら、涙が出続け、ひたすら泣いていた。長い時間泣いていた。
そんな母を見て、僕は初めて分かった・・・母の愛情を。

(白い戦争その2に続く)


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