美しきトスカーナから!イタリア語も!美味しさも!楽しさも!

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アブルッツォ物語(第2話) 

家の近くは車が通れないため、広場に車を置いて、皆で歩いてきた。
荷物を車から家まで運ぶため、何回も何回も行ったり来たりした。
そうしているうちに、日が暮れて、街灯がついた。
私は、あまりの美しさに見とれて、運ぶのをやめ、ドアの前に立って眺めた。

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私を見た皆もカメラを持ち、夜のライトアップされた美しい家並みの写真を撮り始めた。

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皆は写真撮りに夢中になり、あっという間に、街の中に消えて行った。
一人残った私は、周りに人の気配があるかどうかを静かに注意してみた。
そして、アンナが言ったことを思い出した。
「あなたたちが別荘に行く時期は、夏のバカンスに訪れた人たちも帰っているはずだから、全ての家が閉じられていると思うよ。たぶん、あなたたちだけだよ。」

本当にその通りだ。
家々の窓の明かりが一つもない。

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誰もいない。
まるで、ゴーストタウン!

その時、広場の塔の上から長く角笛が鳴り響いた。
ビックリして、その方向を見た。
暗くてあまり見えないが、家々のドアが開き、かがり火を持った人々が、どうした!どうした!と言うような顔をして次々に出てきた。
私は人々を見て、「やっぱり、居たのね!」と言いながら、
人々に混ざって塔のある広場に向かうと、塔の上から、大きな声が人々に向かって告げられた。
Tre uomini incappucciati a cavallo! <馬に乗ったマント姿の3人の男たちだ!>
大勢の人々は、
「こんな遅い時間に、もしかしたら・・・、或いは、この山に隠れているあの有名な山賊たちかっ?」
と口々に話しながら、女たちは急いで子供を連れて家に戻り、ドアを閉めたのだった。

私は大勢の人々と一緒に門まで歩くと、
Aprite! <開け!>
私は背筋に寒気が走った。
どうしよう。伯爵もいない。
ひと月前、伯爵は家来たちと一緒にサフランを持って王様の所に行ったきりだ。
私たち農民だけで、どうやって山賊と戦えるのか?
一応、こちらは強そうに見せなければならない。
一番、逞しい大きな男が声を出した。
Chi siete! Cosa volete! <何様だ!何の用事だ!>

すると、門の向こう側から声が聞こえた。
Non abbiate paura. <怖がらないで。>
Sono Marco. <マルコだ。>
E con me c’e` Primo e Luca. <俺と一緒にプリモもルカも居る。>

驚きのあまり、私の心臓は破裂しそうになった。
プリモが帰ってきた。
私は門に近づきながらも、もしかしたら息子が戻って来たのではないかと、母の期待がどこかにあった。
1年前、沢山の最初に収穫したサフランを持ってフロレンティアに向かったきり、便りの無かった息子が戻ってきたのだ。
私は咄嗟的に大きな声を出した。
Aprite subito! <開けて、すぐに!>
逞しい大きな男が私を止めた。
Aspetta! <待て>
逞しい大きな男は、門の向こうにいる3人に言った。
Prima, fatevi riconoscere! <まずは、お前たちを確認させてくれ!>
と言いながら、逞しい大きな男は、門の覗き窓からかがり火を近づけて覗くように確認した。
確かにプリモたちが立っていた。
門は、ようやく開かれた。
プリモの顔が涙で歪んで見えた。
旅立った時は幼い顔だったが、1年経って、髭のある勇ましい大人の顔になっていた。
プリモを抱きながら、何度もつぶやいた。
「会いたかった!会いたかった!本当に会いたかった!」

プリモが言った。
Madre! Abbiamo venduto tutto lo zafferano. <母上、サフランは全部売りました。>
Siamo ricchi, Madre. Tu e mio Padre non sarete piu servi. <母上、私たちはもう、お金持ちになりました。あなたと父上は、もはや召使いではありません。>
私は悲しく答えた。
Tuo Padre... <あなたの父上・・・>

***

Mamma guarda che belle fotografie! <お母さん、見て、なんて綺麗な写真!>
私は富男の(カメラに写っている)何枚かの写真を見た。
綺麗な街並みが写っていた。
もちろん、別な姿の街は、私の頭の中だけで生きている。

皆で、この1200年代に建てられたアンナの石造りの別荘に入った。
どこを見ても、歴史が刻まれている。
まるで、博物館のような家。
家中の壁を含め、どこにでも、各時代に息づいた感情が残っているかのようだ。

この街、この家に住んできた各時代の人々の喜びや悲しみ・苦しみ、そして、時代を超えた愛に包まれている私たちは、安らぎを感じるのだった。

(第3話に続く)

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